生物海洋学(MB201-EB01)

(Biological Oceanography)
基本情報
授業科目区分 単位数 コマ数 開講時期 科目コード 必要授業時間外学習時間
2群・ 必修・ 講義科目 2 15 1年次  後期 60時間
担当教員 所属講座・研究室 連絡先等
●加戸 隆介※
実務経験のある教員

【加戸 隆介】

様々な環境に生息する海洋生物の生態と環境との関わりを調べてきた経験や知識を生かして、生物生産やその持続に環境がいかに大きな影響を及ぼしているかを実例を挙げながら解説し、現状の理解と保全や修復につながる視点や行動を促すような授業を行っている。

資格取得コースとの関係
教職課程 教科及び教科の指導法に関する科目 /大学が独自に設定する科目
学芸員養成課程
食品衛生管理者・監視員資格 要件科目(2021年度入学者から)
自然再生士補 必修科目
授業の目的 学習・教育目標との対応

地球上で起こっているいろいろな問題(温暖化、台風の大型化、漁獲量減少、海面上昇など)はいずれも「海洋」と密接に関連し、「海洋」の理解無くしては解決は困難です。本講義では、その「海洋」を生物的・生態的な視点から学ぶことを通して、海洋の役割を理解し、今後私達は海とどのように向き合う必要があるのかを考える基本的な素養を身につけることを目的とする。具体的には、海洋の構造、海水の物理・化学的特性、海水の流動など海洋生物が暮らす環境について最初に解説する。次いで、海洋に生息している多様な植物や動物を概観した上で、これら動植物の生態的特性、被食・捕食関係、海洋での物質循環、水産資源の変動要因、海洋汚染の原因や現状、地球温暖化の理由などについて正しい理解を深める。

A: 多面的思考能力
B: 自然科学の基礎知識・理論
C: 専門分野の知識・技術
D: 問題解決能力
E: 実務能力
F: コミュニケーション能力
G: 技術者倫理
H: 継続的学習能力
授業の概要(内容・方法)

講義の目標、授業の進め方、評価基準の説明
1 海はいつ頃できたの?(原始海洋から現代の海に至る地史的過程を振り返る)
2 海はなぜ塩辛い?(” 海” を形作る海水の物理的・化学的性質)
3 黒潮の海面は左に傾いて北に流れる!(海流ができる理由と地球の自転の影響)
4 地球の海水は数千年かけて一巡りする!(水温と塩分がもたらす超スローな流れ)     
5 エルニーニョとは何?(海と大気との密接な関係・他人事ではない影響)      
6 タコはネクトン?エチゼンクラゲはプランクトン?(海で暮らす生物の分類と特徴)
7 フナムシはなぜ海中にいない?(磯の特殊な環境と生物多様性)
8 黒潮はなぜ黒い!(豊かな海とやせた海の違い、深海に眠る栄養)
9 過去の負の遺産で地球は病んでいる!(海洋汚染と長期戦)
10 地球は氷河期と間氷期を交互に繰り返してきたはず。今の地球はどの時期?(地球の気温変化とその要因・地球温暖化の真実)
について、講義テキスト、パワーポイント、動画などを使って解説・説明する。

教科書・参考書
書名 著者・編者 出版社 値段(円)
教科書 講義テキストを事前に配布する
参考書 生物海洋学第2版 C.M.Lalli&T.R.Persons 監訳:関文威 訳:長沼毅 講談社サイエンティフィク 3,900
参考書 海の科学 柳 哲雄著 恒星社厚生閣 1,900
参考書 海洋科学入門-海の低次生物生産過程- 多田邦尚・一見和彦・山口一岩 恒星社厚生閣 2,700+税
参考書 海洋生物学ー地球を取りまく豊かな海と生態系 P.V.Mladenov著、窪川かおる訳 丸善出版 1,080
参考書 深層水「湧昇」海を耕す! 長沼 毅著 集英社新書 693
参考書 海洋ブラスチック汚染 「プラなし」博士、ゴミを語る         中嶋亮太著 岩波書店  1400(税別)
参考書 地球46億年気候大変動 炭素循環で読み解く地球気候の過去・現在・未来   横山祐典著  講談社ブルーバックス 1200(税別)
参考書 地球を巡る不都合な物質-拡散する化学物質がもたらすもの-       日本環境化学会編著 講談社ブルーバックス 1000(税別)
参考書 謎解き・海洋と大気の物理 保坂直紀 講談社ブルーバックス 980(税別)
学生の到達目標 学習・教育
目標との対応
1. 海水の特性、海水の流動要因などについて説明できる。 目標BC
2. 海洋生物を生態学的に分類し、それぞれの生態学的役割について説明できる。 目標BC
3. 海洋における物質循環、エネルギー効率、気象との関係について説明できる。 目標BC
4. 海洋汚染の種類、原因、影響について説明できる。 目標BC
5. 地球温暖化の理由と現状を説明でき、継続的に問題解決に取り組むことができる。 目標AH
到達度の評価
評価方法・評価基準・フィードバックの方法

定期試験  [100%]

評価基準: 試験では到達目標に関連した問題を出題することで、その到達度を評価する。
フィードバックの方法: 答案返却を行う。
学習支援情報・その他注意等
  1. 「生物海洋学」は環境や海洋生物に関わる2群、3群科目の基礎となる科目です。参考書のうちどれかひとつを是非購入して、理解に役立てて下さい。
  2. 講義テキストを渡しますので、予習をして講義に臨み、復習で補強して下さい。
  3. 画像、最近の話題などを紹介することにより、解りやすく解説します。
  4. 講義中にレスポンスカードを配布します。質問などあれば記入して講義後に提出して下さい。
  5. 出された質問に対する回答をMoodleにアップします。積極的に講義に参加して下さい。
  6. 講義終了後にMoodle に講義スライドをアップします。復習に役立ててください。
授業計画
実施項目 各回の学習内容と学習課題

ガイダンス
海洋の地史的変遷と構造

講義の目標、授業の進め方、評価基準の説明 
はじめに)地球の歴史における海洋の誕生

【予習】

シラバスの理解、講義全体像の概観、「海」についての知識の整理

 

【復習】

講義概要の整理
地球誕生から原始海洋形成の理解

海水の物理・化学的特性

海水に含まれる元素,海水の特性(水温,塩分、密度)

【予習】

海水に含まれる元素は何?それら元素の重量は?

【復習】

 海水の塩分組成、塩分の定義、密度を決める要因

海水の駆動-1

地球の自転がもたらす影響(コリオリ力、大気の循環、エクマン輸送、地衡流、西岸境界流)

【予習】

コリオリ力とは何?コリオリ力が働く対象は?海水を動かす要因は?海面の高さは水平か?

【復習】

コリオリ力の方向、大気を動かす3つのギア、エクマン輸送、地衡流

海水の駆動-2 

密度流、熱塩循環(深層大循環)、内部波、引力による潮汐流

【予習】

密度が異なる海水が接するとどうなる?密度変化の大きい場所は?満潮・干潮で海水はどう動く?

【復習】

密度の違いが起こす熱塩循環(深層循環)、異なる密度境界で起こる現象、干満差の理由と頻度

海洋の局地的湧昇現象と水温の不均一分布

湧昇流(沿岸湧昇、赤道湧昇、南極湧昇)、エルニーニョ現象・南方振動、ラニーニャ現象

【予習】

深層水が湧き上がる海域とその理由。世界で最も水温が高い海域は?エルニーニョって何?

【復習】

湧昇流の原因と顕著な海域、エルニーニョ・南方振動の原因とその影響

海洋生物の分類・生態区分

浮遊生物・遊泳生物・底生動物の特性と代表種

【予習】

海洋生物をどう分ける?その役割と代表的生物

【復習】

プランクトンの種類・特徴と生態的役割

プランクトンの不均一分布

海洋生物の水平・鉛直分布、補償深度、被食−捕食関係、季節変化

【予習】

プランクトンの豊富な海域、乏しい海域。その違いの理由と季節との関係

【復習】

海洋生物の時空間分布が異なる理由と要因

異なる環境における食う・食われるの関係

陸縁辺部に住む海洋生物の特性と生息環境、サンゴ礁域、外洋域、高緯度海域における食物連鎖

【予習】

環境の違いと食物連鎖・食物網の違い 

【復習】

潮間帯、サンゴ礁域、外洋域、高緯度域における生物群集の違いとその理由

海洋における物質生産(有機物生産の現場)

海洋での物質生産(必須元素、レッドフィールド比、HNLC海域、現存量と回転率、)

【予習】

漁場が成立する海域の特徴、物質生産に関する陸と海の違い

【復習】

リービッヒの最小律、プランクトンの炭素窒素比、HNLC海域とは? 陸環境と違う現存量と回転率

10

海洋における物質生産(有機物生産の効率と食物網)

海洋での物質生産(エネルギーの流れ、転換効率、微生物ループ)、炭素循環  

【予習】

食う・食われるの間でエネルギーはどうなる? 食われる資源量と食う資源量の関係 バクテリアは分解の役割だけ? 炭素はどんな形で存在するか

【復習】

転換効率(生態効率)は何パーセント、生食連鎖と微生物ループの関係、海は二酸化炭素の貯蔵庫

11

海洋における物質生産(窒素の循環、漁業と資源管理)

海洋での物質生産(窒素循環、新生産、再生生産)、資源変動、世界の漁業海域と漁獲量、資源管理

【予習】

蛋白源としての窒素はどこから? 資源を枯渇させないために必要なこと

【復習】

海洋で窒素循環、漁業という名の海からの窒素の除去、資源を枯渇させないための資源循環と維持管理

12

海洋汚染-1(海洋汚染とは? 海を汚す物質)

海洋汚染の定義、海洋汚染物質(放射能、残留性有機汚染物質、殺虫剤、ダイオキシン)と汚染の現状

【予習】

なぜ海は汚れたか? 汚染源は何? なぜなくならない?

【復習】

海洋汚染の定義、福島第一原子力発電所事故の影響、PCB・農薬・ダイオキシン汚染の影響

13

海洋汚染-2(重金属、原油、プラスチックゴミ)

海洋汚染物質(重金属、原油、海洋ゴミ・マイクロプラスチック、富栄養化)と汚染の現状、外来種問題

【予習】

公害病としてのイタイイタイ病、水俣病。タンカー事故で問題なのは?マイクロプラスチックの何が問題?青潮って青いプランクトン?

【復習】

重金属汚染の問題物質と被害状況、流出原油の処理、マイクロプラスチックは最終的にどこに行く?赤潮と青潮の違い、バラスト水問題

14

地球の温度に最も影響する太陽からの日射量は一定か?(数万年から数十万年で繰り返される周期)

地球が受ける日射量の変動(ミランコビッチサイクル、ダンスガード-オシュガーサイクル、ハインリッヒイベント)と寒冷化・温暖化
二酸化炭素濃度の変動と「地球温暖化」

【予習】

地球が受ける太陽からの日射量は地球の自転軸、歳差、離心率の変動によって大きく変わる。
人が地球に与えた大気環境への影響

【復習】

地球の温暖化、寒冷化の周期性、それに伴う氷床の発達・衰退による海洋の熱塩循環への影響

15

まとめ

14回の講義内容の振り返り

【予習】

生物海洋学の講義内容の通観

【復習】

地球環境の変化と海洋の果たす役割の再認識、人間の影響力の大きさと制御の難しさの認識
将来の環境改善に向けた海洋システムの理解のための知識の整理

(定期試験)